2016年08月28日

ヨハネ神学

論壇           ヨハネ神学         8212016


 本日の説教テキスト「イエスのエルサレム入場」は4つの福音書すべてに書かれていますが、記述の方法、強調点、道具立てが違います。この違いを福音書全体にわたって追及し、それぞれの思想体系を整理したもの、それが「福音書記者の神学」と呼ばれます。ヨハネ神学、マタイ神学、マルコ神学、ルカ神学というわけです。


 本日のテキストではイエスのエルサレム入場を群衆が歓呼で迎えたことが記されますが、これは旧約聖書のメシア預言で予言されていたことでした。それをどう説明するかが、福音書によって違います。


 4つの福音書の共通点は、どれも「ホサナ、主の名によって来られる方に」という詩編1182526を引用します。またイエスがろばの子に乗って入場したことも記しますが、これは王は軍馬に乗って入場するが、平和の主であるメシアはろばに乗るという、ゼカリヤ書9:9のメシア預言の成就であるという説明です。マタイ、マルコ、ルカでは、このろばの子をどうやって取得したかという点に強調が置かれますが、ヨハネは無視しています。またマルコ、ルカではこの子ロバが「まだだれも乗ったことのない」ことを強調し、イエスのために用意されていたと記します。


 イエスを迎えた群衆はマタイ、マルコでは「群衆」、ルカでは「弟子たち」です。しかしヨハネは、群衆とはすでにエルサレムに到着していた巡礼たちで、イエスを城門の外に「迎えに出た」と記します。この「迎え」という言葉は、凱旋将軍の帰還、王の行幸を市民が迎える時に使われる言葉ですから、ヨハネが強調したい点はこれだと分かります。


 またマタイ、マルコ、ルカでは、群衆が道に自分の服や木の枝を敷いてイエスを迎えたとありますが、ヨハネはこの枝を「なつめやしの枝」と特定しています。それはBC164年のユダ・マカバイオスによるシリアからの独立戦争(宮清め)の象徴的な「しゅろの葉」でした(旧約聖書続編Tマカバイ記1351、Uマカバイ記107)。これはAD132年、ユダヤで起こったローマに対する最後の反乱時、シメオン・ベン・コセバが発行したコインの図柄にもなりました。このしゅろの木(なつめやし)を記念して、欧米の教会ではイースター前の日曜日を「しゅろの日曜日」(Palm Sunday)と呼びます。


 特に重要なのは、ヨハネが「シオンの娘よ、恐れるな」と旧約聖書を引用する時、これはゼカリヤ書99の「娘シオンよ、大いに踊れ」ではないということです。これはゼファニヤ書316の引用であり、ヨハネはゼファニヤとゼカリヤを混合引用しているのです。ゼファニヤ書では「イスラエルの王なる主はお前の中におられる」「お前の主なる神はお前のただ中におられる」、すなわち神様ご自身が入場されるというメッセージなのです。

posted by 横浜中央教会 at 13:56| ◇論壇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする